ATMの話

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タマ・チャンはさっきとんでもない量の小銭を両替しにATMに行ってきた。

 

なぜタマ・チャンが大量の小銭を持っているのかと言うと賽銭泥棒をしたからだ。

今しょうもないかつ罰当たりな嘘をついた理由は特にない。

この嘘はタマ・チャンが圧倒的善人であることを前提としないと成り立たない嘘なので、悪人の皆さんは真似しないで欲しい。嘘であっても本当だと思われてしまう。だから、悪人であることを自覚して慎ましくいることを推奨する。

 

大量の小銭の本当の理由は文化祭の収益が全部小銭だったからだ。

ちなみに利益はもう既にみんなにちゃんと返している。初期費用でタマ・チャンが負担していた分が3万ほど小銭で手元に残っていたのだ。収益を独り占めするようなことをタマ・チャンはしない。めちゃくちゃ頑張ったからしようかと思ったけどしなかった。タマ・チャンの理性の勝利である。コンプライアンスゴリ守りブロガーなのでそこの説明はちゃんとしておく。

そういえば、この前みんなが文化祭の時のお礼としてアンパンマンチョコをくれた。優しかった。アンパンマンチョコを自分で買ったことはなかったし、小さい頃も食べていた記憶はないので、まさか人生19年目にして大量のアンパンマンチョコを受け取ることになるとは思っていなかった。

 

タマ・チャンはその大量小銭をとりあえず札にしようとATMに向かった。

それを思い立ったのが夜だったため、近くのATMがやってなくてわざわざちょっと遠くまで出向いた。

しかも雨が降っていたから歩きで行ったのだ。

 

歩いた挙句Googleマップに知らねえ路地裏に案内された時は運命を呪ったけれど無事タマ・チャンはATMに辿り着いた。

 

これがその時の記念写真である。

 

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小銭達をどう運んだらいいか分からずタマ・チャンは革のポシェットにそのままぶち込んだ。

銀行強盗のやり口だ。

ちなみに小銭がバッグを占領してしまったため、大切なお財布は手に抱えて歩くという頭の悪いことをしてしまった。

 

お金の重みを物理的に感じながらこの小銭ともおさらばか、と感傷的になっていたのだが、そう簡単にこの話は終わらない。

 

なんという悲劇か、小銭の取り扱いはしていないとタマ・チャンは宣告されたのだ。

 

ここまでの道のりと胸に抱えた大量の小銭を思い、タマ・チャンは静かに「えっ?」とATMに問い返した。

 

彼が答えることは無かった。

 

「えっ?」

 

そう言いながらタマ・チャンはお金を下ろした。大量の小銭が札に変わることは無かった。夜は小銭を取り扱ってないよなんて親は教えてくれなかった。

 

 

重い小銭達を抱えながら帰り道を歩いていると、イヤホンから流れてきたのはLove so sweetだった。

 

恋が始まるかと思った。

 

素敵な夜だった。