電話の話

 

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タマ・チャンはよく電話をする。

と言うのもそれは上京を機に一人暮らしを始めて一人の時間が寂しかったからだが、暇さえあれば電話をするようになった。

 

なんなら昔は電話は好きじゃなかった。というよりめんどくさかった。

アンジーから帰宅予定の報告のための電話がよくあったのだが、タマ・チャンは余計な話は一切しなかった。クールな女である。

 

相手はほぼ妻たちである。

 

電話の始まりが葵さんと二人だった時は大体茶番から始まる。「はじめまして……聞こえてますか?あれ、聞こえてるかな、もしもーし」が茶番開始の合図である。そこから先は嘘の応酬大会だ。

ここ最近はなくなったが、以前は寝落ち常習犯だった。声がしなくなったからタマ・チャン達が「寝た?」と聞くと、「……ん〜?起きてるよォ…」と答えるのだが絶対に寝ている。大嘘つきである。

なんなら電話をしながら夢を見ているから怖い。食べ物の話なんて一切していなかったのに急に「美味しそうだね」とか言ってくるから怖い。

ちなみに葵さんは失恋(注1)をしたばかりなので、この前電話で泣き出してしまってタマ・チャンもついもらい泣きをしてしまった。皆も葵さんには優しくしてあげて欲しい。

注1:葵さんはタマ・チャンらによって好きな人をでっち上げられたのだが、ノリが良すぎるが故にその設定に乗っかってしまい事ある毎にいじられている。

 

橋本さんは電話中にめちゃくちゃテレビを見るから怖い。しかもそれを見て一人で笑っているから怖い。ちなみにテレビの内容を別に教えてくれるわけではないのでタマ・チャン達にその面白さが伝わることは無い。

あとクールな女なので、電話の切り方もクールである。突然「あ、じゃあ寝るねー、おやすみー」と言って切ろうとする。だから、タマ・チャンはもっと寂しそうに切れよ、とちゃんと教育をした。それが功を奏して電話が2人の時は「ねーえ、寂しいからたまきちゃんから先に切ってヨォ」とクソ棒読みで言ってくれるようになった。願わくはもうちょっと演技力を鍛えてほしい。

 

多部さんは滅多に電話に出ないのだが、出たとしたら大体バイト終わりでめちゃくちゃ電車の音がうるせえ中1人で平然と喋っているから度胸がすごい。

この前は大雨強風の中帰っていたのだが、アトラクション並の悲鳴を出していて、1人なのによくそんな大声出せるなぁとタマ・チャンは感心した。大阪の女だからだろうか。大阪に対するステレオタイプが出てしまった。申し訳ない。

 

妻たちの他にも、英語劇部のあの大人数とも一気に電話するし、テレビ電話してるくせに一切言葉を発さず真顔でカメラを見つめる女やイギリスやオーストラリアの女とだって電話するし、タマ・チャンは電話をエンジョイしている。

 

まぁ電話ではしょうもない話しかしてないしいつも何を話してるかは覚えていないが、時には真剣な相談だって聞いてもらえちゃうので精神を安定させる最高のツールでもありタマ・チャンのハピネスの一因であることは間違いない。

 

だから皆ぜひタマ・チャンに電話して欲しい。

 

 

 

どこにいたっていつだって電話出来る。

 

電話は地球をつなぐことができる。

 

だから私は earth music&ecology。