遅刻しかしない話
タマ・チャンは遅刻しかしない。
時間通りに間に合うこと、ましてや5分前に待ち合わせ場所に到着していることはほぼない。
タマ・チャンが時間に余裕を持って行動している確率は、スキンヘッドの方の後頭部の謎の皺にコバエが飛び込んで圧死する確率よりも低い。
今のクソみたいな比較はさておき、何故そんなに遅刻するのかタマ・チャンは真剣に考えた。
タマ・チャンの遅刻は死活問題である。
もしかするとタマ・チャンの知人は、遅刻を繰り返すタマ・チャンには罪悪感など存在しないだろうと思っているかもしれない。
声を大にして、最大にして、張り上げて、その声が枯れ喉が裂け血が滴り落ちたとしても言いたい。
めちゃくちゃある。
どうせ間に合わないという諦めから遅れているのではない。
大体遅刻の原因は油断かうっかりミスに帰着する。
プラス時間管理能力の圧倒的欠如である。
通信制限がかかっていることを忘れて待ち合わせ場所を事前に調べず接続がクソ悪い中で調べようとして失敗したり。待ち合わせに間に合うように電車の時間を調べてあっても家から駅まで歩く時間を考慮していなかったり。待ち合わせの時間を1時間間違えていてギリギリになって気づいたり。
それだけでなく、予定通りに家を出てもいつの間にか遅れていることもある。
タマ・チャンは、歩いてる途中で美しい空や植物を見つけると、思わず見惚れ物思いにふけってしまうからだ。
タマ・チャンが持つ趣深さは紫式部や在原業平に引けを取らない。平安時代に生まれていれば天下を取っていたかもしれないと言われ得るかもしれない人物である。
毎日変わる空の色にそれぞれ名前をつけ、その青さをブレンドして最も美しい青を作る空青(スカイブルー)研究家として活動したこともある。これは嘘だ。
ちなみに、タマ・チャンは今嘘をついたことに対して罪悪感を感じ、一筋の涙を流している。それほどの感受性を持ち合わせた人物である。これも嘘だ。
お分かりいただけただろうか。
タマ・チャンはシンプルにアホである。
でも、どうか皆さんにはそんなタマ・チャンのことを愛おしく思って欲しい。
愛おしく思い、慈しみ、お茶目という言葉で片付けて欲しい。
そして、ゆくゆくは私の信者となってほしい。
タマ・チャン教を宣教し、世界中に広めて欲しい。
この時、タマ・チャンのもとには自然に人が集まるようになるので、タマ・チャンが自らどこかへ赴く必要はなくなる。
したがって、タマ・チャンが遅刻することはなくなり、この問題は解決される。