お母さんの話
タマ・チャンには母がいる。
タマ・チャンをこの世に産み落としてくれた母がいる。
お母さんのあだ名はアンジーだ。
一時期WiiFitを家族でやっていたのだが、そこで母が「アンジー〇〇」と自分のMiiに名前をつけたのが始まりだった。アンジーは父姉タマ・チャンが普通に下の名前を入力する中、堂々と自分でその名前を設定した。
〝アンジェリーナ・ジョリーに似ている〟からだ。
はっきり言っておく。新約聖書のイエス・キリストよりもはっきり言っておく。
似ていない。
本人曰く友人から言われたそうなのだが、その方はおそらく大胆なお世辞を言う方、もしくは目にB612とかSNOWとかのフィルターが標準装備されている方、もしくはアンジェリーナ・ジョリーを見たことがない方のいずれかだろう。
ちなみに〝アン・ハサウェイ〟にも似ていると言われたらしい。アンジーはそれ以降LINEのアイコンをアン・ハサウェイにしている。
タマ・チャンは思う。そこはアンジェリーナ・ジョリーであれ、と。
昔はエビちゃんこと蛯原友里に似ていると豪語していた。そして自身をカニちゃんと呼称していた。
今考えても鬼ダサニックネームである。同じ甲殻類だからといって許されるわけではない。
また、アンジーは紛うことなき親バカである。
学校行事にはひたすら参加したがるし学校で会えば手をめちゃくちゃ振ってくる。タマ・チャンは反抗期なので振り返さないが、そんなことお構い無しにアンジーは手を振る。
そしてタマ・チャンは周りの友達に「アンジー来てるじゃん笑」と言われて恥ずかしい思いをするのだ。ちなみにタマ・チャンの部活の同輩はアンジーが来ることに慣れているので、もう既にアンジー呼びしている。
妖怪Facebookババアでもある。何かあればすぐFacebookにあげるし、常にFacebookのネタを探している。そして、叶姉妹と同等の頻度で💖✨の絵文字を使う。
Facebookのネタのためか、元来の性質か、とにかくアンジーはミーハーだ。この前は皆が撮っているからという理由で訳もわからず皆と並んで廃墟と空の写真を撮ろうとしていた。後からそれは映画『天気の子』に登場する場所だったと発覚したが、アンジーは別に天気の子と縁もゆかりも無い。
そして、アンジーは王道イケメンが好きだ。水嶋ヒロ、佐藤勝利、竹内涼真、佐藤健.......顔がかっこいいから好きと言う安直さである。小学生女子と同等だ。
なんとなくお分かり頂けただろうか。基本的にアンジーの思考は単純かつ明快で読みやすいのだ。
おしゃべりで恐ろしくポジティブだから、反抗期真っ只中のタマ・チャンからしたら少々うざったいけれど、ピュアでチャーミングな人だと思う。
タマ・チャンの出産予定日は本来アンジーの誕生日だったのだが、タマ・チャンは大幅に遅れて出てきてしまった。生まれながらの親不孝者だ。それでも扱いづらいタマ・チャンをお父さんと共に素敵に育ててくれた。もちろんタマ・チャンが元々素敵だったことは否めないが。
ちなみにアンジーはタマ・チャンのことを小さい頃からチャミーと呼ぶのだが、未だに何がどうなってそのあだ名が生まれたのかは分からない。
ここまでアンジーの話をしてきたが、皆さんにとっては正直どうでもいい話だと思う。しがない1人のおばさんの話だ。
ただ、タマ・チャンを大好きでたまらないみんなはアンジーに感謝すべきだ。
さあ、大きい声で言おう。
アンジー、ありがとう。と。